年末調整の準備はお済みですか?(事業者の方向け)
こんにちは。青野公認会計士事務所の打野です。
前回のコラムでは、一般の方が年末調整を行うために必要な提出書類の説明をしました。
今回は事業者の方が年末調整に向けて準備しておかなければならないことを説明していきます。
年末調整のスケジュール
| 時期 | 作業内容 |
ステップ1 | 11月初旬 | 従業員に対して各種申告書を配布 |
ステップ2 | 11月中~下旬 | 従業員が申告書を記入し、会社に証明書を添付し提出 |
ステップ3 | 12月初~中旬 | 提出された申告書と証明書をもとに所得税額を算定 |
ステップ4 | 12月下旬 | 過不足額の精算と源泉徴収票の作成 |
会社によって多少前後しますが、一般的な年末調整の日程は上記のとおりです。
12月~1月は税務関係の事務作業が多くなりますので、年間のスケジュールを把握し慌てないように準備しておきましょう。
事前準備のチェックリスト
- 本年の年末調整を受ける対象者を確認したか
- 今年の中途入社者から、本年分の「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、及び前職の本年分「給与所得の源泉徴収票」を受領したか
- 必要な申告書(「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」、「給与所得者の保険料控除申告書」、「給与所得者の基礎控除・配偶者控除等・所得金額調整控除申告書」、「給与所得者の源泉徴収票(給与支払報告書)」)をすべて準備したか
各種申告書の内容については前回のコラムをご参照ください。
年末調整処理のチェックリスト
扶養控除等申告書
- 控除対象扶養親族は、年齢16歳以上の扶養親族か
- 老人扶養親族は、年齢70歳以上か
- その老人扶養親族が、所得者本人または配偶者の直系尊属で、普段から同居している人の場合、「同居老親等」にチェックをつけているか
- 特定扶養親族は、年齢19歳以上23歳未満か
- 控除対象扶養親族、障害者に該当する同一生計配偶者又は年齢16歳未満の扶養親族の合計所得金額はそれぞれ48万円以下か
- 障害者に該当する(人がいる)場合に記載漏れはないか
- 寡婦、ひとり親又は勤労学生に該当する人は、所得者本人か
- 住民税に関する事項に、年齢16歳未満の扶養親族を記載しているか
- 控除対象者が国外居住親族である場合、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を添付しているか
所得金額調整控除申告書
- 所得者本人の年末調整の対象となる給与の収入金額は850万を超えているか
- 「扶養親族が23歳未満」の要件にチェックを入れている場合、扶養親族等欄に記載した者は23歳未満か
配偶者控除等申告書
- 所得者本人の合計所得金額は1000万円以下か
- 配偶者の合計所得金額だけでなく所得者本人の合計所得金額に応じて控除額が正しく計算されているか
- 配偶者控除と配偶者特別控除との区分は正しくされているか
- 老人控除対象配偶者は、年齢70歳以上か
- 配偶者が国外居住親族である場合、「親族関係書類」及び「送金関係書類」を添付しているか
保険料控除申告書
- 各種保険料等は所得者本人が支払ったものか
- 生命保険料控除額及び地震保険料控除額の計算は正しく行われているか
- 一般の生命保険料、介護保険料及び個人年金保険料の区分は正しくされているか
- 新保険料と旧保険料、地震保険料と旧長期損害保険料との区分は正しくされているか
- 社会保険料の金額に給料から差し引かれた社会保険料を記載していないか
基礎控除申告書
- 合計所得金額の見積額は、他の勤務先から受けている給与や給与以外の所得がある場合に、それらを合計しているか
- 給与取得金額の見積額は、所得金額調整控除や特定支出控除を控除しているか
住宅借入金等特別控除申告書
- マイホームを購入した人と所得者本人は同じか
- 借入をしている人と所得者本人は同じか
- 金融機関の「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」が添付されているか
- 「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」が記載され、添付されているか
これらは必要項目すべてではありません。
内容の確認、所得税の計算を公認会計士等にご依頼される事業者の方は、税区分「甲」の従業員全員から提出されているか、記入された申告書に漏れがないかを確認してください。
令和3年分 年末調整のしかた|国税庁 (nta.go.jp)